ミドルアース・ストラテジーバトルゲーム:武勇
戦は名もなき戦士たちの活躍で成立している.
しかし,偉大な指揮官や剛勇たる武将の活躍にも目を見張るものがある.
アラゴルンにトーリン.サウロンにアゾグ.
中つ国には数多くの英雄がいた.
このミドルアース・ストラテジーバトルゲームでは,そういった英雄たちの活躍が色鮮やかに再現されている.
今回は,英雄たちについて語ろうと思う.
参照:ゲームのおおまかな流れはこちらから↓
ミドルアース・ストラテジーバトルゲーム-超ざっくり遊び方前編(Japanese)
ミドルアース・ストラテジーバトルゲーム-超ざっくり遊び方後編(Japanese)
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目次
1. 英雄たち
2. 武勇の2つの使い方
3. ヒロイックアクション
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※以下で出てくるキャラクターの能力値は基本的に無料で配布されているPDF(旧版)を引用したものです.
引用:heroes and villains of middle-earth
※和訳は基本的に旧版を踏襲しています.一部,独自訳がはいっています.
※わかりやすさ重視で和訳を多用しますが,実際は英語訳をそのまま使うことが多いです.
1. 英雄たち
中つ国には多くの英雄がいる.アラゴルンのような伝説的な英雄から,ゴブリン街で幅を利かせているゴブリンの隊長まで様々だ.
彼らは,強い.普通の戦士よりも戦闘技術に長け,力が強く,タフだ.
しかし,英雄が英雄たる由縁はその強さだけではない.
彼らのセンスやカリスマ性が戦場を大きく変えるのだ.そして彼らは英雄の名声をえるに至った.
上の写真を見てほしい.左の枠に書かれた能力値は,一般的な戦士と共通しているものだ.
- Mv(移動力) ...足の速さ.馬だとドワーフの倍のスピードで駆け抜ける!!
- F(Fight;戦闘力) ...戦いの戦闘技術
- S(Strength;攻) ...腕力など攻撃力
- D(Defense;防) ...鎧の質やフィジカルなど防御力
- A(Attack;回) ...攻撃回数
- W(Wounds;耐) ...耐久力.HPといったらわかりやすい?
- C(Courage;勇) ...勇気.不利な状況でも逃げない,恐ろしい敵にも立ち向かう勇気.
英雄たちのこれらの値は,基本的に部下の一般兵よりも優秀な値を持っている.
一般兵が攻撃回数1回,耐久力1としたら,隊長は攻撃回数2回,耐久力2といったように.
しかし,先述の通り英雄は類稀なるセンスやカリスマ性を持つ.
それが右のM,W,Fだ.
- M(Might;武勇) ...戦場で見せる英雄たちの武勇だ.
- W(Will;意思) ...英雄はくじけない.魔法や魔法抵抗,勇気チェックなどに使う(別記事書くかも).
- F(Fate;宿命) ...英雄たちは運にも恵まれている.間一髪,鋭い一撃をよけることができるかも.
この英雄が持つポイントが,英雄の名声や凄まじい精神力,幸運を表現しているのだ.そして,ゲームでもこれらのポイントが大きく戦況を変える.
これらのポイントは消費ポイントだ.ゲーム中に消費する.
ちなみに,相場として一介の隊長は
M2,W1,F1
一族の王など最強クラス(アラゴルンやトーリンなど)は
M3,W3,F3
英雄と一口に言っても,その格には差があるってことだね.
加えて,有名な英雄はスペシャルルールを持っていることがある.その英雄ならではの,固有のルールだ(たとえば,周囲の見方をパワーアップさせるなど).
今回は省略するが,能力値が書いてあるアーミーブックを買って英雄の個性に酔いしれてくれ!!
cf.アーミーブック
https://www.games-workshop.com/en-JP/Armies-Of-The-Lord-Of-The-Rings-2018-eng
https://www.games-workshop.com/en-JP/Armies-Of-The-Hobbit-Sourcebook-2018-eng
今回は,この英雄ポイントのうち,M武勇について説明しよう.
正直言って,この武勇ポイントの使い方が雌雄を決することも少なくない.
ベテランの趣味人の先輩と戦っていると,大軍の動かし方と武勇ポイントの使い方に"腕"が発揮されると痛感するよ...
(武勇ポイントは消費するポイントだから終盤までとっておきたいけど,使うときに使わないと無駄になってしまう...みたいな葛藤があるのです!!)
2. 武勇の2つの使い方
武勇ポイントの使い方は2つ.
①出目修正
②ヒロイックアクション
①について,なかなか出目が振るわないこともあるだろう.
「5以上で敵を倒せる」というときに出目4とか...
英雄は,そういった状況をひっくり返すこともできる.
武勇ポイントを1使うと,出目を+1することができるのだ.
例えば,「ダイス出目5以上で敵を倒せる」というときに出目3だったとしよう.
でも絶対この敵を倒したい.そんなとき,武勇を2ポイント使えば出目+2,すなわち"3"を"5"に修正することができるのだ.
ここぞというときに使おう.普通は武勇は最大でも3しかないから毎回使えるってわけじゃないしね.
②について,直訳すると"英雄的行動".その名の通り,カリスマ性やその圧倒的な"力"で特殊な行動を繰り出すことができる.これはかなりたくさんの種類があるので,次項で詳細に述べたい.
3. ヒロイックアクション
ヒロイックアクションこそが英雄が英雄たる由縁と言っても過言ではなかろう.不利な戦況を,天に見放された運を,望み廃れた兵力差をひっくり返せるかもしれない!!
武勇ポイントを1使うことで,1つの「ヒロイックアクション」を起こすことができる.そして,そのヒロイックアクションは11種類あるのだが,英雄の個性によって使えるヒロイックアクションは様々だ(超人的な英雄はたくさんのヒロイックアクションを起こせる.)
11種類のうち,3種類は全ての英雄が使える.残り8種類は使える英雄,使えない英雄がいるので要注意.(これは旧版から新版への改訂の最大かつ最高の変更点だと思います!!英雄の個性が表現できるね!!)
例えば,ドワーフの偉大な王 鉄の足のダインは共通の3種類のヒロイックアクションに加えて,5種類のヒロイックアクションを使うことができる.一方で,一介のドワーフ隊長は共通の3種類のヒロイックアクションに加えて,51種類のヒロイックアクションを使うことができる.こんなかんじで,英雄の"格の違い"を表現しているんだ.
まず,全ての英雄が使える3種類のヒロイックアクションも見てみよう.
①Heroic Move(ヒロイック移動)
②Heroic Shoot(ヒロイック射撃)
③Heroic Combat(ヒロイック接近戦)
①Heroic Move(ヒロイック移動)について,先日の記事で先攻後攻の決め方と移動方法を説明した.
しかし,「後攻になっちゃったけど,ここは先に動きたい」ってこともあるだろう.
このときにヒロイック移動を宣言する(武勇ポイントを1消費する).
すると,宣言した英雄は真っ先に動くことができる,そしてその周囲6mv(mv=インチ)の味方も次いで移動することができる.
なお,複数人の英雄がこれを宣言したとき,誰から先に動くかはダイスで決める.
これは戦況を大きく変える重要な行動だ!!
特に騎兵は突撃するのと,突撃されるのじゃ威力が2倍近く変わるから要注意!!
②Heroic Shoot(ヒロイック射撃)について,先日の記事のとおり射撃は先攻が矢を放った後に後攻が矢を放つという流れで行われる.このヒロイック射撃を宣言する(武勇ポイントを1消費する)と,これを無視して宣言した英雄と周囲の味方が先に射撃を行うことができる.
...正直,この4年間でまぁまぁゲームしてきたけど見たことない...
③Heroic Combat(ヒロイック接近戦)について,これは鬼のように敵兵を斬り捨てる猛将に最適のヒロイックアクションだ.
英雄が敵と戦っているとき,もし今戦っている敵全員殺すことができたら追加移動ができるというもの.
たとえば,上の写真を見てほしい.
ゴブリン2人が戦いを挑んでいるが,怒り狂ったドワーリンにとってこれしきの敵は屁でもない.ここでドワーリンが武勇ポイントを1使ってヒロイック接近戦を宣言したとしよう.この戦いでドワーリンがゴブリン2人を倒した場合,すぐさま次の移動ができるのだ.そしてそれは,新たな敵に戦いを挑むことも可能だということを意味する.
雑兵を沢山斬りまくりたいときや目の前の敵を退けて早く苦境に立たされた友軍に加勢したいときなどに使える.
しかし,もしダイス運が悪く最初の敵を少なくとも1人殺せなかったなら,追加移動はできない.つまり,武勇1が無駄になってしまう.そこは盤面を見る力とダイス運に頼るしかない.
続いて,残り8つのヒロイックアクションを説明しよう.
ここではいくつかは説明を省かせてもらう.詳しくはルールブックを読んでくれ.
cf. ルールブック
https://www.games-workshop.com/en-JP/Middle-earth-Sbg-Rules-Manual-2018-eng
たとえば,ギャムリングを見てほしい(モザイク部分はスペシャルルールや彼の物語など.気になったらアーミーブックでチェケラ!!).
彼は,全ての英雄が使える3つのヒロイックアクションに加えて,Heroic MarchとHeroic Defenceの計5種類のヒロイックアクションを使えるそうだ.
あ,画質最悪だ.ごめんなさい.
ではその8つのヒロイックアクション,どのようなものがあるのだろうか.
④Heroic Strike(ヒロイック英雄の一撃)
⑤Heroic March(ヒロイック強行軍)
⑥Heroic Channeling(ヒロイック魔力強化)
⑦Heroic Defence(ヒロイック防御力)
⑧Heroic Strength(ヒロイック攻撃力)
⑨Heroic Challenge(ヒロイック決闘)
⑩Heroic Resolve(ヒロイック決心)
⑪Heroic Accuracy(ヒロイック正確無比)
④Heroic Strike(ヒロイック英雄の一撃)
[持っている英雄の例:アラゴルン,ダイン,アゾグなど強そうな英雄]
はっきり言おう.私が一番重視しているヒロイックアクションだ(そしてそれは多くの趣味人も同じだろう).
戦場ではしばしば英雄の一騎討ちや直接対決が起こる.なぜならば,敵将の進撃は一兵卒の手には負えず,自軍の英雄で止めるのが定石だからだ.このときに使えるのがヒロイック英雄の一撃だ.
または対モンスター.圧倒的な破壊力を誇る.奴らを止められるのは英雄しかいない.このときに使えるのがヒロイック英雄の一撃だ.
ヒロイック英雄の一撃はF(Fight;戦闘力)を挙げる行動だ.
まず先日の記事で戦闘のやり方を思い出してほしい.
上の場合を見てみよう.
ダインが手勢とともにトロルの討伐に向かった(トロルは多くの一兵卒を食い散らかすだけの強さを持つ).
戦闘の勝者はダイスで決める.出目の大きい方が勝ちだ.
そして出目が同じならF(Fight;戦闘力)が高い方が勝ちだ.
トロルや強い英雄はダイス3個とか4個とか振れる.6が出ることも珍しくない.
ダインのFは6,トロルのFは7.つまり,トロルがドワーフ以上の出目を出せばダインは負けてしまう(そしてそれはドワーフの危機を意味する).
そこでダインは武勇を1ポイント使い,ヒロイック英雄の一撃を宣言した.このとき.彼はダイスを1つ振り,Fは出目分上昇する.つまり,ダイスで3が出たら元のF6に3を足してF9になるわけだ(最大10).すなわち,戦闘判定で双方6だったり,同数だった場合はドワーフ陣営の勝利となるわけだ.
こういった"一瞬戦闘力をあげる"というのがヒロイック英雄の一撃だ.
上の場合.ビフールは手勢とともにウルクハイの隊長マウフルを取り囲んだ.チャンスだ.しかし,戦闘に長けたマウフルのF(Fight;戦闘力)は5で攻撃回数は3.ビフールは生粋の戦士ではないのでF4.マウフルが同値以上出してしまうと,せっかくのチャンスが無駄になる.そして武勇があれば出目修正もできるので,マウフルはこの状況をひっくり返しうる.
ここでビフールは"一瞬戦闘力をあげる"ヒロイック英雄の一撃を用いよう.ビフールのFは4+出目上昇し,マウフルを上回ることができる.これでマウフルの首は目の前だ!!
もうひとつ例をば.アゾグvsトーリンで考えると,アゾグのF(Fight;戦闘力)は7,トーリンのFは6.
アゾグが6を出す確率は42%(6が出たら自動的にアゾグ勝利),5以上の確率は70%以上なのでトーリンはかなり不利だ.この状況をひっくり返すには,トーリンのF値を上昇させるしかない.ここで"一瞬戦闘力をあげる"ヒロイック英雄の一撃を用いるのだ.
少し乱暴だが要約するとこうなろう.
「強敵を倒すためには"ヒロイック英雄の一撃"が必要」
自軍の戦闘を引っ張る隊長にはヒロイック英雄の一撃を使えるやつを選ぼう.
⑤Heroic March(ヒロイック強行軍)
[持っている英雄の例:王や名もなき隊長など指揮重視系英雄]
これは,序盤の布陣に大きく役立つヒロイックアクションだ.
このヒロイックアクションは,「攻撃しない代わりに移動力を約1.5倍にする」というもの.例えば,右翼部隊が敵に囲まれて危険な場合.左翼の部隊は,とにかく早く右翼と合流したい.そういった場合にヒロイック強行軍を宣言すると,走るスピードがUPする.有利な陣形を作るのに有効な策だ.
しかし,個人で勇名を馳せた英雄は往々にして使えない(彼らは指揮ではなく己の武力でのし上がったからだ).王などの指導者や無名の小隊長が使える場合が多いので要注意.
派手ではないが,地味に効いてくるヒロイックアクションだ.
以降は,申し訳ない,簡単にまとめる.
⑥Heroic Channeling(ヒロイック魔力強化)
[持っている英雄の例:ガンダルフやオークの呪術師など魔法使い全般]
これは魔法強化だ.例えば,"敵を動かなくする"という魔法を使いたいときに,武勇ポイントを1使って強化する.すると,"敵を弱体化させる"といったように効果を増大できるのだ!!
⑦Heroic Defence(ヒロイック防御力):
[持っている英雄の例:バーリンやハマなど]
守りに集中することができる.どんなに力が強い敵であろうと,6を出さないとダメージを与えられない.一瞬の隙を突かれた危機や,圧倒的強者の足止めに有用であろう.
上の場合.ギャムリング老人はかなりの危機に陥っている.F(戦闘力)もA(攻撃回数)もはるかに上回っているトロルに勝ち目は薄いし,負ければ出目3以上でダメージを食らってしまう...
ここでギャムリングはヒロイック防御力を宣言した.負けたとしてもトロルは出目6を出さないとダメージを与えられない.援軍が来るまで持ちこたえられるかもしれない...
⑧Heroic Strength(ヒロイック攻撃力):
[持っている英雄の例:ギムリやドワーリンなど猛将]
一時的に攻撃力をあげることができる.重装鎧で身を固めた敵将や大柄でびくともしないモンスターを一刀両断できるかもしれない!!
⑨Heroic Challenge(ヒロイック決闘):
[持っている英雄の例:トーリンやアゾグなど決闘で雌雄を決するような武将]
敵将に決闘を申し込むことができる.相手が決闘を受け入れれば,一方が死ぬまで2人は戦い続ける.相手が決闘を拒めば,臆病者として相手は不利益を被る.
⑩Heroic Resolve(ヒロイック決心):
[持っている英雄の例:バーリンなど智将]
敵から魔法をかけられたとき.一兵卒は通常抵抗するすべなく呪いにかかる.しかし,このヒロイックアクション周囲では揺るぎない意思で魔法に抵抗できる.
⑪Heroic Accuracy(ヒロイック正確無比):
[持っている英雄の例:レゴラスやマドリルなど弓の名手]
遮蔽物に隠れた敵を射抜くとき,命中率が上がる.
ただ,弓はもともと攻撃力が高くないので命中率が上がったところで...?という印象はある.
このように,様々な英雄的な行動がある.
保守派は(基本的にぼくはこっち側)ケチって武勇を終盤にとっておきがち.
イケイケ派はバンバンヒロイックアクション使って早々に武勇が0になってしまう.
でも大事なのは必要な時を見計らうこと.
それが今か,それとも取っておくべきか,この駆け引きが楽しい.
また,映画でよくある英雄の一騎討が,ゲームとして再現されるのもいいね.
しかも,ロマンだけではなくゲーム戦術として必然的に英雄同士の対決が見られるのも楽しい.
中には,この英雄的な行動が頻繁に行える英雄もいる.
アラゴルンは1ターンにつき武勇1ポイントをノーコストで使える.
ボロミアは武勇が6もある(トーリンやアラゴルンでさえ3なのに!!).
ギャムリングは武勇0の英雄に武勇1を付与できるし,一部の英雄は特定のヒロイックアクションをコストなしで行える.
そういった調整によって,カリスマ性をリアルに表現しているんだ!!
個人的には以下がかなり使いやすい.
・ヒロイック移動
先手必勝.先に動けば,有利に戦いを運べる.これはみんな使えるけど,しょっちゅう使いたいから武勇が足りなくならないように要注意!!
・ヒロイック英雄の一撃
強敵を倒すにはほぼ必須!!強敵倒すために,このヒロイックアクションを使える英雄は武勇ポイントを節約したいね.
ひとつとんで...
・ヒロイック強行軍
上述2つのために武勇ポイント節約したいけど,移動が遅いと孤立した友軍が壊滅することも少なくない.前半でヒロイック強行軍に武勇ポイントを消費するか,後半に取っておいて巻き返すか毎回迷う.
ゲームを重ねて,このヒロイックアクションをマスターしよう!!
以上
2021.3.13. 執筆